栃木県宇都宮市にある「大谷資料館」は1979年3月に開館。大正~昭和期にかけて大谷石を採掘した歴史を展示し、映画などのロケ地としても有名な地下採掘場跡も見学することができる。
大谷資料館は手掘りから機械式となった大谷石採掘の姿を分かりやすく紹介。大谷石は柔らかく加工に便利で火にも強く、建物・石仏・石塔・民芸品など幅広く使用されている。中でも近代建築の三大巨匠の一人、フランク・ロイド・ライトが設計した旧帝国ホテル本館に用いたことにより大谷石の存在が世界に広められた。壮大で幻想的な空間が広がる地下採掘場跡は見る者を圧倒し、戦時中に地下倉庫や軍事工場の役割も果たすなど冒険心をくすぐるミステリアスな要素もある。
大谷石の山の岩肌に囲まれた建物
坑内は柱が整然と並び神殿のような佇まい
栃木県の美術館・博物館を調べた時にかなり興味をそそられた大谷資料館へ。駐車場から少し歩いて建物に入り、先ずは受付横の資料展示室から。ここでは大谷の地質や大谷石の採掘方法、搬出・輸送の移り変わりについて学べるため、メインの地下坑内に行く前に立ち寄るのがおすすめ。歴史を感じる採石用の道具・機械類や、大谷石と他の石質を触って比較するコーナーもある。
地下坑内入口から長い階段を下りると、古代の神殿を彷彿させる神秘的な光景が広がり思わず息を呑む。個人的にはドラクエのダンジョンに迷い込んだ気分。外の気温は半袖でも大丈夫なほど暑かったが、坑内は7.5℃と寒くコートを羽織って丁度良いくらい。夏でも10℃前後とまさに天然の冷蔵庫で、戦後には政府米の貯蔵庫としても活用されていたようだ。所々にはオブジェが配置され、ライティングにより壁に映し出された影は幻想的な空間を更に盛り上げている。
掘削機などが当時を模して展示