1929年のバルセロナ万博で建てられた「バルセロナ・パビリオン」は万博終了後に解体されるが1986年6月に再建。設計は20世紀のモダニズム建築を代表するミース・ファン・デル・ローエ。
近代建築三大巨匠の一人、ミースが設計したドイツ館=バルセロナ・パビリオンは3枚の大理石壁とスチール十字型柱にガラスで構成され、装飾がなく極限まで突き詰めたシンプルな建物。閉鎖的な古い建物とは対照的に直線だけで作られた合理的な設計は、モダニズム建築の概念を分かりやすく実現している。室内のガラススクリーンは床から天井まで継ぎ目の無い1枚で、外部と内部との境界を意識させない。ガラスに映り込む光や水が見事に調和され、訪れた人々の視界を楽しませる。
エントランスは大きな大理石が視界を遮る
シンプルな空間にバルセロナチェアがよく似合う
バルセロナの2日目はモンジュイックの丘の入り口、スペイン広場からカタルーニャ美術館の方向へ約500mほど歩いた所にあるバルセロナ・パビリオンへ。3日前のパリでジャン・ヌーヴェルのアラブ世界研究所を見て感動したため、スペインが誇る近代建築の傑作でミース・ファン・デル・ローエ記念館とも呼ばれる建築にも期待が高まる。早速外にいるスタッフへ5ユーロを渡して見学開始。
建物は1階だけの平屋で高さ1.5mほどの目の粗い大理石上に建てられ、玉石を敷いた浅い水盤がかなりの面積を占める。この水盤を切り取ったような1枚の大きな屋根と床に挟まれた水平面に内部空間がある。広場の壁・床・ベンチはイタリアの大理石トラバーチンが使用され、床は仕切りが無く建物内まで続いている。水平・垂直のみの極めて単純な構造だがプロポーションの完成度の高さやディテールの繊細さ、水盤越しに全体を見渡すシンプルな佇まいはとても美しく色気さえ感じさせる。
大理石・ガラス・鉄で構成されている