多彩なジャンルの展覧会を開催する「高松市美術館」
香川県高松市の中心市街地にあり、多様性に満ちたアートを展開する「高松市美術館」は2016年3月にリニューアル。設計は東京ビッグサイトや神奈川県立近代美術館 葉山を手掛けた佐藤総合計画。
高松市美術館は「戦後日本の現代美術」「20世紀以降の世界の美術」「香川の美術(工芸)」を中心に約1,600品を収蔵し、国内外の評価も高く地域の芸術文化拠点として存在感を示している。美術館の歴史は長く、元々は戦後間もない1949年11月に全国初の公立美術館として名勝栗林公園内に開館。その後瀬戸大橋が開通した1988年3月に現在の地へ移転したが、2015年1月からの改修により建物・設備の刷新と「人・街・未来につながるミュージアム」をコンセプトに再び生まれ変わった。
旅行最終日となる4日目は高松市美術館へ。宿泊した「JRホテルクレメント高松」から車で5分、JR高松駅・琴電瓦町駅からは徒歩圏内にある都市型の美術館。コンクリート璧の外観はシンプルで整然とした雰囲気を醸し出し、エントランスホールはトップライトから自然光が差し込み開放的な空間が広がる。このホールで一際目立つのは世界的な彫刻家 流政之の代表作「ながれバチ」。高さ3.5mもある作品は三味線のバチをイメージして造られ、シャープな切れ味が空間を引き締める。
1階常設展示は「1990年代以降の日本現代美術」が開催中で、現代美術の起点となった1980年代の作品がどのように受け継がれ変化していったかを奈良美智、杉戸洋、小谷元彦など21作家28点の作品で紹介。「讃岐漆芸―その始まりから現代まで」も開催中で、讃岐漆芸の系譜を創始者 玉緒象谷(たまかじぞうこく)から現在活躍する作家の作品で紹介。(会期は2018/9/29~12/24まで)
中2階の「こども+」では子ども向けの美術図書や絵本が自由に閲覧できる。この日は誰もいなかったため、子どもは絵本を読んだり動物・魚のマグネットで思う存分満喫。様々なアートプログラムを無料で提供するなど、講演会やワークショップといった教育普及活動にも積極的に力を入れている。1階ミュージアムショップでは美術館収蔵作品のオリジナルグッズを豊富に取り揃えている。
最後はカフェ「cafe de Moku」で一休み。無垢の木に囲まれて落ち着いた空間は、美術鑑賞だけではなく街歩きの休憩にも最適。パスタやハンバーグランチが人気で、ドリンクはテイクアウトでショップ横のロビー(情報提供コーナー)で飲むこともできる。高松市美術館は現代アートから香川県ゆかりの作家や作品を大切にし、市民一緒になって時代と共に成長を続ける素敵な美術館。