近代から現代の絵画を中心に展示しているベルリンの美術館「新ナショナルギャラリー」は1968年9月に開館。設計は近代建築三大巨匠の一人、ドイツのミース・ファン・デル・ローエ。
新ナショナルギャラリーは人々を魅了するノルデ、キルヒナー、グロッス、ディックス、ムンクをはじめ、20世紀以降の美術史を俯瞰するような西洋絵画や彫刻を約5,000点所蔵・展示している。建物はシカゴ郊外のファンズワース邸やバルセロナ・パビリオンなどを設計したミース・ファン・デル・ローエの代表作の一つで、生誕100周年の切手に採用されるほど人気が高い。巨大な鉄の屋根を8本の柱が支え、周囲をガラスに覆われた直線的な外観はシンプルでありながら強烈な個性を放つ。
四方から見ても同じ形状の外観
様々な企画展に使用されるエントランス
11月で最低気温が0度近くになるベルリン。その寒さの中、統一ドイツの象徴として再開発されたポツダム広場からソニーセンター、フィルハーモニー・ホールの先にある新ナショナルギャラリーへ。開館前に到着したため外観を写真に撮りながら待っていたが、興奮して寒さを忘れるほど格好良い。緩やかな階段の角度一つをとっても美しく、風景を映すガラスは時間と共に表情を変えていく。
時間となりエントランスホールに入ると柱や壁が最小限で、余分なものが一切ない研ぎ澄まされた空間が広がる。メインギャラリーは地下にあり、企画展は2010年から2014年にかけて連続した3つのテーマで開催。第一期は1900年から1945年、第二期が1945年から1968年、第三期が1968年から2000年の潮流を追っている。今回は11月から始まったばかりの第二期「DER GETEILTE HIMMEL(引き裂かれた空)で、誰もが知っている「ベルリンの壁」の東と西に分かれた空を指す。戦後初期からドラスティックな変貌を遂げた社会で、アート史と戦後史が重なり合い発展していく様子を紹介。
シンプルな地下への導線