丹下健三の代表作「東京カテドラル聖マリア大聖堂」
東京のカトリック教会において中心的な役割を果たしている文京区関口の「東京カテドラル聖マリア大聖堂」は1964年12月に竣工。設計は日本建築を世界レベルまでに引き上げた丹下健三。
東京カテドラル聖マリア大聖堂(関口教会)の歴史は古く1900年1月に設立。当初は木造のゴシック建築だったが、1945年5月の東京大空襲で焼失してしまう。その後、ドイツ・ケルン教区からの多大な支援もあり丹下健三の設計による現在の聖堂が献堂された。カテドラルとは、司教が信者を教え導き典礼を執行するための座席(ギリシャ語でカテドラ)のある教会、司教座聖堂のことを指す。そして聖堂の守護聖人が無原罪の聖母マリアであるため、東京カテドラル聖マリア大聖堂と呼ばれている。
50年以上前の建築とは思えない洗練されたデザイン夏日となった平日の朝、文京区関口のホテル椿山荘の向かいにある東京カテドラル聖マリア大聖堂へ。東京メトロ有楽町線の江戸川橋駅から徒歩で15分程の距離にあり、関口台公園脇の鳥尾坂を登るとステンレス張りの建物が視界に入ってくる。目白通りのエントランスに回ると白鳥が翼を広げたような大聖堂が姿を現すが、一見すると教会とは思えない近代的なデザイン。そしてこの建物は上空から俯瞰する神の視線を意識すると、キリスト教を象徴する十字架を象っている。
大聖堂までのアプローチはエントランスから左手にある鐘塔に向かって進み、敢えて迂回させることで特別な空間による刺激で緊張感を高める狙いもある。鐘塔の4つの鐘はドイツから輸入されたもので、塔の4面は真っ直ぐに伸びているようでよく見ると全て捻れている珍しい形。大聖堂入口の扉は外観唯一の木製で、両開きの手をかける取手も建物同様に十字架のあしらいを装っている。