アーティストの創作と交流の場として造られた山梨県北杜市の「清春芸術村」は1980年4月に開村。安藤忠雄、谷口吉生、藤森照信などの名建築が集まるアートコロニーは桜の名所としても有名。
南アルプス・八ヶ岳、そして富士山を望める場所にある清春芸術村。武者小路実篤や志賀直哉などの白樺派による理想の美術館構想を、親交のあった東京銀座の画商・吉井長三が私財を投じて実現した。清春小学校が廃校となった跡地に建てられ、生徒たちが植樹したソメイヨシノの桜が90年余りを経た現在も咲き誇る。敷地内には安藤忠雄、谷口吉生、藤森照信、ギュスターブ・エッフェル、杉本博司・榊田倫之の新素材研究所といった名だたる建築家が設計した建物が今も増え続けている。
シンボル的存在の「ラ・リューシュ」
地上4メートルにある「茶室 徹」
GWを利用して以前から行きたいと思っていた清春芸術村へ。中央道は混雑なく順調に進み、出口の長坂ICから15分程で到着。芸術村らしいアイアンワークの門を潜ると、目の前にはパリのエッフェル塔で知られる建築家のギュスターブ・エッフェルが設計した集合住宅アトリエ「ラ・リューシュ」がお出迎え。アール・ヌーヴォー様式の円形建築物(ロタンダ)は1900年に開催されたパリ万国博覧会のパビリオンに使用されたものがオリジナルで、現在もパリのモンパルナスに保存されている。芸術村の建物は吉井長三が設計図を買い取り、パリと全く同じものを1981年4月に再現した。
ラ・リューシュから南アルプスに向かって歩くと、樹齢八十年の1本の檜に支えられ藤森照信の設計で2006年4月に完成した「茶室 徹」がある。見学は外観のみで茶室は実際にお茶を点てられることができ、人が動くと茶室も揺れるユニークな構造。北側には1989年にエッフェル塔完成100周年を迎えた際、芸術村に移設されたエッフェル塔の階段の一部とセザールによるエッフェル像もある。
自然光のみで作品を鑑賞する「光の美術館」