原宿駅にほど近い明治神宮の南参道にある「明治神宮ミュージアム」は2019年10月に開館。緑豊かな代々木の杜にいるかのような開放感ある美術館の設計は、新国立競技場も手掛けた隈研吾。
2020年は明治神宮鎮座百年の節目の年。鎮座百年祭記念事業の一環として建てられた明治神宮ミュージアムは、代々木駅寄りの宝物殿に収められていた御祭神ゆかりの品々を収蔵・展示して後世に伝える。鎮守の杜と調和するような温かみのある2階建ての建物は、和の意匠を得意とする隈研吾の設計で緩やかな勾配の屋根が特徴的。施設は展示室とミュージアムショップのみで、休憩はレストランやカフェ、フードコーナーが入った「フォレストテラス明治神宮」が隣接している。
明治神宮の新たなシンボル
百年の杜のアート「紫幹翠葉」
2020年3月にリニューアルした原宿駅の西口から歩いて5分程の距離にある明治神宮ミュージアムへ。隈研吾らしい大屋根と和風のデザインは南青山の「根津美術館」を思い起こさせる。館内に入ると柱と梁で組んだ架構が露出していて、杜は巨大なガラスで繋がり開放的な空間が広がる。明治神宮ミュージアムのロゴや展示グラフィックは、無印良品のアートディレクションで知られる原研哉。
1階メインロビーでは、明治神宮の杜を舞台とした芸術と文化のフェスティバル「神宮の杜芸術祝祭」のプログラムの1つで「紫幹翠葉(しかんすいよう)−百年の杜のアート」が開催中。印象的だったのは能條雅由の「Mirage #50」で、杜の木々をアクリル板の上に金属箔で描き、ガラス越しの杜を借景して1つの作品になっている。最大の見所は現代アーティスト30名が神宮の杜に想いを寄せた扇作品で、各アーティストの個性が強く出ていて見応えがある。(会期は2020/7/10~9/27まで)
能條雅由「Mirage #50」