美術家・荒川修作とパートナーで詩人のマドリン・ギンズによる構想を体験型芸術庭園にした「養老天命反転地」は1995年10月に開園。10個のパビリオンがユニークなテーマで五感を刺激する。
養老天命反転地は岐阜県の名瀑「養老の滝」を中心とした養老公園内にあり、メインパビリオン「極限で似るものの家」とすり鉢状の「楕円形のフィールド」で構成されている。「天命反転」とは天から授かった命はやがて寿命を迎えるが“死なないため”に五感・本能を目覚めさせるという意味。地面の起伏が不規則で、平衡感覚や遠近感を揺さぶって不安定さを楽しむ。平らな場所は殆どないため足元はスニーカーがおすすめ。敷地内には荒川修作とマドリン・ギンズの作品も点在している。
天井まで迷路で床も傾斜している「養老天命反転地記念館」
登ることができるが険しい岩肌の「昆虫山脈」
以前から怪我人が出ると聞いていた謎の庭園へ。12月で雪もぱらつく寒い日で来場者は少ない。まずは「養老天命反転地記念館(養老天命反転地オフィス)」へ。とてもカラフルで建物の中はオフィスなのに迷路で天井も迷路。そしてトイレには卓球台と思考回路が既に?状態。実際にオフィスとして使用していないのは残念だが、確かに全く落ち着かないため納得。外に出ると岩が無造作に積まれた「昆虫山脈」。頂上にはくみ上げポンプがあり、水を求めて上る姿を昆虫になぞらえている。
次はメインパビリオンの「極限で似るものの家」。岐阜県を屋根に見立てたのが特徴でハウルの動く城を彷彿させる。注意事項に「中に入ってバランスを失うような気がしたら、自分の名前を叫んでみること。他の人の名前でもよい」と…。ソファや家具の配置が迷路のような壁にめり込んでいる。天井は1階を反転させ、もはや錯覚というより混乱を楽しむ世界。さすがに叫ぶことはなかったけど。
通路や家具の配置が無視された「極限で似るものの家」