東京・丸の内にあるコンベンション&アートセンター「東京国際フォーラム」は1997年1月にオープン。設計は日本初開催の国際建築家連合(UIA)の基準に基づく国際公開コンペで決定したラファエル・ヴィニオリ。
東京国際フォーラムは旧東京都庁舎の跡地に建設され、大小8つのホールと34の会議室からなる公的総合文化施設。JR 有楽町・東京駅や各地下鉄からのアクセスが良く、展示会・コンサート・ミュージカル・ファッションショーなど幅広いジャンルのイベントが一年を通じて開催される。壁面だけでも約2,600枚のガラスが使用され、類例のない巨大な吹き抜け空間のあるガラス棟は東京国際フォーラムのシンボリックな建物。建築としての評価も高く、1998年に日本国内の優秀な建築作品に与えられる「BCS賞」を受賞している。

安田侃 「意心帰」の大理石越しに望む外観

スロープ入口から見上げる内観
2歳の子供がお気に入りのアンパンマン。そのミュージカル「勇気の花に歌おう♪」を観るために東京国際フォーラムへ。施設は地上の広場を挟みホール棟とガラス棟に分かれ、コンコースは地下1階で両棟に繋がっている。東京を代表するランドマークの建物を写真に撮るために、早速ガラス棟北側の入口へ。ガラス棟は全長約207m、地上高57.5m、最大幅約32mの巨大な舟形のアトリウム空間でスケールの大きさに驚く。
内部は地上1階から最上階の7階までスロープが続き、4階から6階では空中ブリッジがホール棟と二分された施設を機能的にジョイントしている。この建物のハイライトは大屋根で舟の竜骨のような巨大な梁で、圧倒的な造形は豪快な骨組みと言ったほうが適切か。しかもこの骨組みを支えるのは、北と南にあるたった2本の大柱のみ。巨大でありながら繊細で耐震性能にも優れ、施工・実施能力の高さにただただ感心してしまう。

巨大な屋根を支えるのは両脇の大柱のみ