雄姿を誇る八ヶ岳の麓、長野県小海町の松原湖高原にある「小海町高原美術館」は1997年7月に開館。「人と自然の融合・調和」をテーマに、高原の傾斜地を活かした設計は安藤忠雄。
小海町高原美術館は小海町出身で元国画会会員の画家・栗林今朝男や、人間国宝で日本の民芸を世界に広げた陶芸家・島岡達三の作品、クラシックを中心とした戦前のSPレコードなどを所蔵している。企画展は現代美術・建築・デザイン・アニメーションなど多彩なジャンルを開催。作品を身近に感じてもらうために対話型鑑賞授業やワークショップなどの教育普及活動を積極的に行い、アーティストが一定期間小海町に滞在して活動するアーティスト・イン・レジデンスにも力を入れている。
建物銘板のあるスクリーンとスリットが特徴的な入口
地下の展示室へと続くガラス張りのスロープ
長野県において安藤忠雄が設計した唯一の建築、小海町高原美術館へ。美術館は中央道から国道141号を北上し、氷上ワカサギ釣りで有名な松原湖の畔を過ぎた森の中に佇んでいる。入口の白樺は高原らしさを演出し、低くて長いコンクリート塀の真ん中からエントランスへ進みチケットを購入。展示室は地下1階で途中で折り返す細長いガラス張りのスロープがアプローチになっている。
企画展は開館25周年記念展覧会の第三弾「浮田要三と『きりん』の世界」が開催中。円形の一部を切り取った展示室など特色のある三室に、浮田要三が14年間従事した児童詩誌『きりん』(オリジナル)と、布・紙・金属板などにより構成された絵画を展示している。前衛画家グループ「具体(具体美術協会)」にも所属し、赤・青・黃・黒など色彩のシンプルな選択による抽象作品は素朴で美しく、絵は理屈や説明ではないということが伝わってくる。(会期は2022/9/17~11/13まで)
企画展「浮田要三と『きりん』の世界」