東京都墨田区の旧安田庭園一角に位置し、日本刀の魅力・文化を発信する「刀剣博物館」は2018年1月に開館。設計はモダニズムの思想を受け継ぎ、1993年にプリツカー賞を受賞した槇文彦。
日本美術刀剣保存協会が日本刀の保存や文化の普及のため創設した刀剣博物館。武器のイメージが強い日本刀だが、千年以上の歴史を積み重ね燦然と輝く美術工芸品として日本の文化を感じることができる。元々は1968年5月に渋谷区代々木で開館したが老朽化による建て替えのため、池泉が美しい回遊式の大名庭園「旧安田庭園」の敷地内に移転。施設は庭園との連続性の高い1階に、情報コーナー・カフェ・ミュージアムショップなど気軽に立ち寄れるパブリックスペースを配置している。
柔らかい印象の1階ロビー
ステンレスの手すり壁が特徴的な階段
墨田区の両国駅から歩いて7分程の距離にある刀剣博物館へ開館と同時に一番乗り。外観はコンクリートの打ち放しにエントランスのステンレス壁が、日本刀のような厳格な佇まいを見せている。コンクリートの打ち放しは、場所によって違う型枠を使用していて質感の変化が面白い。館内に入るとシャープな外観とは異なり、円形の関節照明や床・案内板などにより柔らかな雰囲気へ様変わりする。
展示室への移動はエレベーターではなく階段で。手すり壁はステンレスのつや消し仕上げで間接照明や外壁のスリットと、硬さと柔らかさが共存したデザインが特徴的。3階の展示室は温度や照明・低反射ガラスを採用したケースなど、日本刀を最適な状態で鑑賞できる空間で「鈴木嘉定コレクション寄贈品展」が開催中。日本美術刀剣保存協会の元会長で、刀剣博物館の元館長の鈴木嘉定が収集した刀剣や刀装などを展示している。フラッシュをたかなければ全て写真が撮れるのが嬉しい。
日本刀の鑑賞に適した3階の展示室