愛知県豊田市のかつて七州城があった高台の一角に建つ「豊田市美術館」は1995年11月にオープン。水平・垂直の直線的なフォルムで日本一美しい美術館とも呼ばれる設計は谷口吉生。
豊田市美術館は近代から現代の国内外を問わず幅広い作品を収め、館独自の積極的な企画展で全国から美術ファンを集めている。谷口吉生が設計した建物はモスグリーンの長大なスレート(粘板岩石盤)と乳白色の磨りガラスで構成されたモダンな外観が特徴的。広大な庭はアメリカのランドスケープ・デザイナー、ピーター・ウォーカーがデザイン。美術館の隣には漆芸家・高橋節郎の代表作を常設展示している高橋節郎館、西側には気軽に立ち寄れる茶室・童子苑もある。
矩形のエッジが際立つエントランスコート
インスタレーション作品もある吹き抜けの空間
都市と自然が共存するクルマの街・豊田市にある豊田市美術館へ。木々が視界を遮るアプローチを抜けると、巨大な美術館が空を背景に姿を現す。石畳の先はエントランスコートで、門型フレームと建物の水平・垂直が美しくとても格好良い。館内に入りチケットを購入した先の吹き抜けと階段の空間には、ジェニー・ホルツァーの電子掲示板「豊田市美術館のためのインスタレーション 1995」や、白い壁面に描かれた文字はジョセフ・コスース「分類学(応用)No.3」の作品がある。
展覧会は「ボイス+パレルモ」展で20世紀を代表するドイツ人作家ヨーゼフ・ボイスと、その教え子のブリンキー・パレルモの作品を展示。社会的な問題についてメッセージを発信し続けたボイスの60年代最重要作品「ユーラシアの杖」の日本初展示をはじめオブジェやドローイング、パレルモの金属絵画など西洋美術の歴史を知ることもできる。(会期は2021/4/3~2021/6/20まで)
3階の常設展示室