国宝松本城をシンボルとし、北アルプスの玄関口・松本市にある「松本市美術館」は2002年4月に開館。伝統と近代をしなやかに織り交ぜ、2003年にBCS賞を受賞した設計は宮本忠長。
鑑賞の場・表現の場・学習の場・交流の場と4つの柱をテーマにした松本市美術館は、草間彌生や田村一男、上條信山など松本ゆかりの作家の作品を常設展示している。人気アーティスト・画家などの企画展も積極的に開催。半透明ガラスにより光と影がデザインされた3階建ての建物は、空間全体を「透く」和の伝統的手法を再現した。中庭にあたる市民創造ひろばを囲うようにミュージアムショップ・市民アトリエ・レストランなど、美術館に相応しい雰囲気を醸し出している。
草間彌生「幻の華」
草間彌生「考えるかぼちゃ」
松本駅から歩いて15分程の距離にある松本市美術館へ。エントランスひろばには、いきなり草間彌生のオブジェ「幻の華」が現れ想像以上の大きさに少し驚く。建物の外壁に描かれた蝶との一体感があり無料で入れる場所のため、次から次へと写真を撮る人たちがチューリップに吸い込まれているような感覚が面白い。エントランスホールには珍しい黒一色の「考えるかぼちゃ」がお出迎え。
チケット購入後、まずは3階の常設展示から。館内の階段も展示室へと繋がるプロムナードも赤い水玉で覆われ、草間彌生の個人美術館かと思うほどの徹底ぶり。特集展示「草間彌生 魂のおきどころ」はニューヨーク時代から現在までの表現方法の変遷や、永遠・愛・宇宙など作品に込められたメッセージも体感できる。合わせ鏡で無限に続く「天国への梯子」や、ハート型のライトが点滅する「ゴッド・ハート」は特に印象に残った。(会期は2020/10/1~2021/3/31まで)
美しい展示室への導線