東京都江東区の木場公園内にある「東京都現代美術館」は柳澤孝彦の設計で1995年3月に開館。設備改修と利便性の向上を図るため、約3年間の長期休館を経て2019年3月にリニューアルを迎えた。
経年劣化に伴う設備更新や新しいサインの設置など利便性を高め、気軽に立ち寄れる普段使いを意識した東京都現代美術館。什器や案内を示すサインは木やコルクを使用することで堅いイメージの美術館を和らげ、親しみやすいデザインに刷新。以前は使用されていなかった中庭も開放して地下の水と石のプロムナードと繋がり、新設した木場公園側エントランスから気軽に美術館へ足を運べる導線になっている。その他では美術図書室の改装、レストラン・カフェには新店舗がオープンしている。
子どもたちの遊び場となった中庭と螺旋階段
野村和弘「笑う祭壇」
リニューアルをしてからずっと行きたかった東京都現代美術館へ。外観は変わらず三ツ目通りからの入り口以外に、木場公園側にパークサイドエントランスが新設され地域に密着した導線強化の狙いが見て取れる。館内に入ると受付が中央寄りにあり、什器は案内板のサインと共に木が使用されカジュアルな印象を与える。チケット購入後、まずは1階の展覧会「あそびのじかん」からスタート。
この展覧会は毎年恒例の夏休み企画で、今回は6組のアーティストが子どもも大人も楽しめる体験・参加型のインスタレーションを仕掛ける。開発好明の「受験の壁」は高さ8mまでタンスを積み上げ、ボルダリング仕様になった壁は1段目のタンスに登ることができる。野村和弘の「笑う祭壇」は小さな台座にボタンを投げて乗せるのが難しいが、床に散らばったボタンがモザイクのような風景を作り出す。他にも投影される三原色に合わせてシルエットで遊んだり、「〇〇すると〇〇だ」の言葉を自由に組み合わせて好奇心・いたずら心をくすぐられる作品が続く。(会期は2019/7/20~10/20まで)
マリー・コリー・マーチ「アイデンティティ・タペストリー」