京都市中央区にある「二条城」は1603年に江戸幕府初代将軍の徳川家康が築城。国宝の二の丸御殿を筆頭に、重要文化財の唐門や特別名勝の二の丸庭園など桃山文化の遺構を見ることができる。
二条城は徳川家康が天皇の住む京都御所の守護と将軍上洛の際に宿泊する目的で建てられ、京都における江戸幕府の拠点として発展。1611年には家康と豊臣秀頼の会見をこの地で行い徳川家の優勢を見せつけたが、その後対立が激化して豊臣家が滅亡した大阪の陣に結び付く。江戸幕府は260年余り続いたが、1867年に第15代将軍の徳川慶喜により大政奉還が二の丸御殿で表明された。このように様々な歴史の舞台となった二条城は世界遺産にも登録され、現在も多くの観光客が訪れている。
東南隅櫓(手前)と東大手門(奥)
二の丸御殿の正門にあたる唐門
徳川幕府の始まりと終わりを象徴する二条城へ。外堀を歩いていると見えてきたのは東南隅櫓。隅櫓は見張り台として建てられ普段は武器庫に使われていたが、1788年の大火により東南隅櫓と西南隅櫓の2つしか残っていない。入り口は堀川通に面した二条城の正門、東大手門から。左手に進むと四脚門の唐門があり、豪華絢爛な装飾と屋根に唐破風を備え門としては最も格式が高い。
唐門を潜った先にあるのはこの記事最初の写真の二の丸御殿。6棟が雁行形に立ち並び、国内の城郭に残る唯一の御殿群として国宝に指定されている。内部を見学することができ、代表的な大広間四の松鷹図(まつたかず)をはじめとした黄金色に輝く障壁画は、徳川家の権力がいかに大きかったかを感じさせられる。二の丸御殿の西側には特別名勝で書院造庭園(武家邸宅と一体となった庭園)の二の丸庭園が広がり、池泉回遊式で配した庭石や草木を四季折々に楽しめる。
神仙蓬莱の思想を表した二の丸庭園