世界の名画を屋外で鑑賞する「京都府立陶板名画の庭」

世界の名画を屋外で鑑賞する「京都府立陶板名画の庭」

京都の北山エリアにある世界で初めての絵画庭園「京都府立陶板名画の庭」は1994年3月に開園。京都府立植物園に隣接し、設計は安藤忠雄で世界の名画8点を丈夫な陶板画で展示している。

京都府立陶板名画の庭はモネの「睡蓮・朝」やレオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」、鳥羽僧正の「鳥獣人物戯画」といった名画を陶板画という手法で屋外に展示。陶板画は原画を写真製版し陶板に焼き付けたもので、変色や腐食に強く耐久性に優れている。建物は安藤忠雄設計のコンクリート打ち放しの3階建てで、地上1階から緩やかなスロープと階段を経て地下2階まで下りていき、各層の回廊から鑑賞ができる構造。滝や池による水辺の空間の美しさも見どころの一つになっている。

原寸を縦横約2倍に拡大した「鳥獣人物戯画」

原寸を縦横約2倍に拡大した「鳥獣人物戯画」

大きな壁にそびえる「最後の審判」

大きな壁にそびえる「最後の審判」

地下鉄烏丸線北山駅3番出口の隣りに位置する京都府立陶板名画の庭へ。入園料は驚きの100円!入ってすぐの足元にはモネの「睡蓮・朝」が水中に揺らめいている。水と一緒に名画を楽しめるのは陶板画ならでは。右手のコンクリート壁には「鳥獣人物戯画」の猿・兎・蛙の戯れる甲巻と、けもの達の生態を描いた乙巻を展示。墨線のみで描かれるモノクロの世界は日本の美意識を象徴していて園内の他の作品とかなり特徴が異なる。国宝で大人気の鳥獣戯画を独り占めできるのはかなりの贅沢。

奥に向かって進むと高さ約14mとほぼ原寸大で再現されたミケランジェロの「最後の審判」があり見る者を圧倒する。雨の日だと少し怖いかも…。スロープを下りて地下1階で最初に目に留まるのはレオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」。12使徒の中の一人が私を裏切るとイエス・キリストが予言した情景は、ストーリーや潜む謎を知っておくとその世界観をより楽しむことができる。

美術史に残る傑作「最後の晩餐」

美術史に残る傑作「最後の晩餐」

ちょっとした迷路のような園内

ちょっとした迷路のような園内

スロープ下側の張澤端(ちょう たくたん)の「清明上河図(せいめいじょうがず)」は、中国北宋の都・開封(かいほう)の様子を描いた巻物。ここから地下2階には階段で進み「最後の審判」を見上げることができるが、入り組んだ構造はどこに繋がっているのか分からず期待感が高まり、実際の面積よりも広く感じられる。大小4つの滝の音も効果的で心地良い空間が続く。

最後はスーラの「ラ・グランド・ジャット島の日曜日の午後」、ルノアールの「テラスにて」、ゴッホの「糸杉と星の道」を3つ纏めて。ルノアールとゴッホの作品は小窓から覗けるような状態で展示されていて面白い。京都府立陶板名画の庭は建物が遺跡のような雰囲気で、名画をゆっくり楽しめる京都の穴場スポット。気軽に良いものに触れる機会として子どもにもおすすめ。

場所や視点を変えると絵画の表情も多彩に変化する

場所や視点を変えると絵画の表情も多彩に変化する

京都府立陶板名画の庭/Garden of Fine Arts Kyoto

住所
〒606-0823 京都市左京区下鴨半木町 < 地図を表示 >
Tel
075-724-2188
設計
安藤忠雄(日本)
公式サイト
京都府立陶板名画の庭
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