世界各国の観光客で賑わう世界遺産の元離宮二条城。中でも本丸御殿は長期間の保存修理が2024年3月末で完了し、同年9月からの一般公開に向けて優美で繊細な宮家住宅の復活が迫ってきた。
二条城の中心区画にあたる本丸御殿。元々は3代将軍・徳川家光により1626年に建てられたが、1788年の京都の歴史上最大の火災・天明の大火により消失。さらに幕末には、15代将軍・徳川慶喜が本丸の北寄りに仮御殿を建てたが取り壊されてしまう。現在の本丸御殿は二条城が皇室の離宮になった後、1894年に桂宮御殿の一部を本丸に移築した建物。宮家にふさわしい格式ある本丸御殿は能舞台に変わる部屋、狩野派・円山派などの障壁画も現存し国の重要文化財に指定されている。

内部も見学できる国宝の二の丸御殿

後水尾天皇の行幸のために造営された本丸櫓門
昨年の3月に訪れた時はあまり時間をかけられなかった二条城へ。GW中ということもあり、かなりの混雑を覚悟していたが思った以上に空いている。まずは唐門を通り二の丸御殿へ。前回よりも内部をゆっくり見学でき、やはり大政奉還の舞台となった大広間 一の間・二の間は特別な雰囲気を醸し出している。大広間 四の間の障壁画「松鷹図」を筆頭に、障壁画もかなり見応えがある。
二の丸御殿の次は二の丸庭園を抜けて本丸エリアを目指す。本丸の入り口に建つ本丸櫓門は、扉が耐火性に優れた銅板で覆われている。本丸櫓門の先は枡形と呼ばれる四方を囲まれたスペースになっていて、城郭としての軍事的な構造を見ることができ面白い。さらに進むと左手に桂宮御殿の一部を本丸に移築した直後に新設された本丸庭園、右手に今回お目当ての本丸御殿が姿を現す。

本丸御殿の玄関