都民への美術振興を目的に都が設置し、上野恩賜公園内にある日本初の公立美術館「東京都美術館」は1975年9月に開館。設計はモダニズム建築の旗手として日本建築界を牽引した前川國男。
東京都美術館の歴史は古く、1926年5月に東京府美術館として開館。来館者の増加に対応するために現在の建物へ改築したのが、巨匠ル・コルビュジエのアトリエで学んだ前川國男。さらに2012年4月には35年慣れ親しんだ前川建築の佇まいを残しつつ、設備の全面リニューアルやユニバーサルデザインの整備にレストラン・ショップなどの充実を図り大規模改修工事を実施した。レンガ色の外観が特徴的だが外壁はレンガではなくタイルで造られ、“トビカン”の愛称で親しまれている。
エントランスは地下へ下りる
「バベルの塔」展が開催されている企画棟
16世紀のネーデルラント絵画を代表するピーテル・ブリューゲルの最高傑作「バベルの塔」が24年ぶりに来日。特別展『ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル「バベルの塔」展 16世紀ネーデルラントの至宝 -ボスを超えて-』を観るために東京都美術館へ。GW前日ということもあり美術館・博物館が密集する上野恩賜公園はかなりの人出で、東京都美術館も開門前には長蛇の列となっていた。
開館後、チケット購入は地下のエントランスへ。館内はインド砂岩により温かみのあるピンク色のかまばこ天井が各所に見られ、照明のあかりと共に柔らかい印象を与える。「バベルの塔」展は地下1階のネーデルラント美術の軌跡を辿る内容から始まり、1階はヒエロニムス・ボスとブリューゲルの版画を多数展示。「バベルの塔」は2階にあり、縦59.9×横74.6cmというサイズにも関わらず約1,400人もの人物が繊密に描かれ、巨大な塔を画面一杯に配置した壮大なスケールに圧倒される。3DCGで再現した映像や、実物を300%拡大した複製画も楽しめる。(会期は2017/4/18~7/2まで)
エントランスとミュージアムショップ(右側)