文化やアイデアの対峙で新しい価値を創出する「VS.」

文化やアイデアの対峙で新しい価値を創出する「VS.」

大阪駅北側の再開発エリア・グラングリーン大阪に位置する「VS.(ヴイエス)」は2024年9月にオープン。設計監修は安藤忠雄で、公園の景観を損なわないよう建物の半分以上は地下に埋まっている。

VS.は特定のテーマやコレクションは持たず、様々なジャンルやアイデアの対峙により新たなメディアやアートを世界に発信する文化装置。名称はVisionを実現するStationに、Studio/Stage/Societyの含みも持たせている。グラングリーン大阪のシンボリックな施設は大部分が地下に配置され、1400㎡の多彩な空間(スタジオ)は大型作品の展示や映像・パフォーマンスにも対応。1階には建築家のミース・ファン・デル・ローエから取った「LOHE(ローエ)」という名のカフェもある。

安藤忠雄「青りんご」/ラム・カツィール「YUMEMITAI」

安藤忠雄「青りんご」/ラム・カツィール「YUMEMITAI」

地下の展示室へ誘う階段

地下の展示室へ誘う階段

半年前の大阪旅行では寄ることのできなかったVS.へ。外観はガラス張りに縦のルーバーが入ったキューブと、蔦に覆われたコンクリートのキューブが連なっているのが特徴的で公園の施設としては異彩を放っている。VSはVersusの略語でもあり、ガラスとコンクリートの対比も面白い。すぐ横には安藤忠雄の青春のアイコン「青りんご」と、ラム・カツィールのステンレス彫刻「YUMEMITAI」がお出迎え。北梅田通/大阪市道九条梅田線側に回って違う角度の外観を楽しんでから館内へ。

コンクリートの打ち放しの館内は自然光が入りとても明るい。展示室は地下階になり、建物内部を見ながら階段を一歩ずつゆっくり下りる。開催中の企画展は「sakamotocommon OSAKA 1970/2025/大阪/坂本龍一」で、2023年3月に逝去した音楽家の坂本龍一が若き日に受けた刺激を次世代のクリエーターたちへ届けるプログラムになっている。(会期は2025/8/30~9/27まで)

バシェ音響彫刻「高木フォーン」

バシェ音響彫刻「高木フォーン」

坂本龍一にまつわるグッズも販売

坂本龍一にまつわるグッズも販売

広大な地下空間には1970年の大阪万博のために制作されたバシェの音響彫刻や、東京藝術大学のバシェ修復プロジェクトチームが坂本のために制作した新たな音響彫刻を展示。長年愛用していたグランドピアノは「energy flow」「Merry Christmas Mr.Lawrence」など5曲を再生し聴き入ってしまう。その他には24台のiPhoneやiPadを駆使したインスタレーションや、場所を非公開にしている坂本龍一所蔵の本が読める「坂本図書」の分室、手書きの楽譜などもあり見応え・聴き応えがある。

鑑賞後はミース・ファン・デル・ローエの美学「Less is more」をコンセプトにしたカフェ「LOHE」で一休み。コーヒーの素材・抽出・構成にこだわり抜いた一杯を提供している。メニューには1杯1万円するパナマ デボラ ゲイシャ ニルバーナもあり、誕生日や記念日などのご褒美時間に訪れる方も多いとのこと。VS.は安藤建築やアートはもちろん、コーヒー好きの自分には堪らない場所だった。

コーヒー & コーヒーカクテル専門店「LOHE」

コーヒー & コーヒーカクテル専門店「LOHE」

VS.(ヴイエス)

住所
〒530-0011
大阪府大阪市北区大深町6-86 グラングリーン大阪 うめきた公園 ノースパーク < 地図を表示 >
設計・監理
日建設計
設計監修
安藤忠雄
公式サイト
VS. | うめきた「グラングリーン大阪」の新たな文化装置
関連記事
文化やアイデアの対峙で新しい価値を創出する「VS.」
豊臣秀吉の栄華を見届け歴史を象徴する名城「大阪城」
高層階の広い空に囲まれた極上の空間「コンラッド大阪」
マリオの世界に興奮!「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」