多彩なアートと建築に魅了される「埼玉県立近代美術館」

多彩なアートと建築に魅了される「埼玉県立近代美術館」

さいたま市浦和区の北浦和公園内にある「埼玉県立近代美術館」は1982年11月に開館。設計は代表作の中銀カプセルタワービルを筆頭に、斬新なデザインで独特なフォルムが特徴的な黒川紀章。

埼玉県立近代美術館は埼玉ゆかりの作家や国内外の美術作品を4000点以上収蔵し、ユニークなテーマの企画展を随時行っている。人々が集い地域と共に進化する美術館を目指し、ギャラリー・トークや親子で参加できるワークショップなども積極的に開催。高さを15m以下に抑え並木道の景観を損なわないように配慮した建物は、美術館を初めて手掛けた黒川紀章の設計で見応えがある。その他、ミュージアムショップやバーベキューも楽しめるレストランなど施設も充実している。

直線と曲線のコントラストが美しい外観

直線と曲線のコントラストが美しい外観

Nerhol:壁「representation」/床「connecticut」

Nerhol:壁「representation」/床「connecticut」

JR北浦和駅西口から徒歩3分の距離にある北浦和公園内の埼玉県立近代美術館へ。公園には遊具や音楽噴水(工事中)、夏季にはじゃぶじゃぶ池もあり子どもたちで賑わっている。美術館の外観は格子状の柱梁構造で全体を覆い、その内側には波打つガラス張りで構成され素晴らしい建築に見惚れてしまう。黒川紀章のガラスカーテンウォールといえば国立新美術館だが、その原点かもしれないと思うと感慨深い。格子越しに見る景色が面白く、ずっと眺めているとあっという間に開館時間に。

館内に入り、先ずは2階の企画展「Nerhol 種蒔きと烏 Misreading Righteousness」から。グラフィックデザイナーの田中義と彫刻家の飯田竜太で結成されたNerhol(ネルホル)の作品を約100点ほど展示。街路樹やストーンペーパー、珪化木など多様な素材が呼応して時空を超えた複雑な因果関係を掬い上げ、ささやかな日常を考えさせられる。(会期は2025/7/12~10/13まで)

田中米吉「ドッキング(表面)No.86-1985」

田中米吉「ドッキング(表面)No.86-1985」

草間彌生「スーツケース/脚立」

草間彌生「スーツケース/脚立」

3階への階段途中には田中米吉「ドッキング(表面)No.86-1985」があり、建物の内外部を貫く立方体は衝撃的なインパクトと共に建物を芸術作品に昇華させている。1階に戻り今度は8月末まで開催している第1期のMOMASコレクションへ。特集は「デビュー50周年記念 山本容子」、セレクションはピカソ・モネ・ピサロ・草間彌生などの作品を紹介。草間彌生の「スーツケース/脚立」はミラノでの個展に合わせて制作された貴重な作品で、出会えた嬉しさから食い入るように観てしまった。

展示室以外にも見どころが多く、地階から3階までの吹き抜けは天井から自然光が降り注ぎ万華鏡のような光景が美しい。1階には開館当初から収集しているデザイン椅子があり、「今日座れる椅子」として実際に座ることも。そして公園の彫刻広場には中銀カプセルタワービルのモデルルームが展示されている。内部を見たのは初めてでこちらもかなり興奮して隅々まで見学。埼玉県立近代美術館は数多くのアートと黒川紀章の建築が堪能できる素敵な場所で、とても有意義な時間を過ごせた。

黒川紀章「中銀カプセルタワービル」のモデルルーム

黒川紀章「中銀カプセルタワービル」のモデルルーム

埼玉県立近代美術館/The Museum of Modern Art,Saitama

住所
〒651-0073 埼玉県さいたま市浦和区常盤9-30-1 < 地図を表示 >
Tel
048-824-0111
設計
黒川紀章
公式サイト
埼玉県立近代美術館 The Museum of Modern Art, Saitama