滝のシリーズが有名な美術作家、千住博の個人美術館「軽井沢千住博美術館」は2011年10月に開館。設計は先鋭的なデザインと、妹島和世とのユニット「SANAA」でも活躍している西沢立衛。
軽井沢千住博美術館は周囲の自然や地形と一体となるガラス張りの建物で、館内は明るく開放的。千住博が1978年から制作した作品を約100点収蔵・展示している。美術館には珍しく起伏の地形をそのまま活かした緩やかな傾斜も、目線を変えれば作品だけではなく四季折々のカラーリーフの樹々や草花を楽しめる。千住博が閉鎖的ではなく今までにない美術館を希望して、設計に西沢立衛を指名。
エントランスへのアプローチ
通路だけではなく敷地全体に広がるカラーリーフガーデン
直島へ旅行に行く途中、西沢立衛の建築を見るために軽井沢千住博美術館へ。建物は元の自然地形をそのまま活かし、床・壁・天井(屋根)それぞれが曲線を多用している。床面傾斜の高低差は3.5mほどあり、美術館全体が森へのアプローチになっているイメージで、軽井沢の自然と千住博の作品が調和している。館内の所々には展示用の壁が林立して、ベンチに座りながらゆっくり鑑賞できる。
千住博は東京やニューヨークを拠点として活動し、1995年にヴェネツィアビエンナーレ絵画部門で名誉賞(最高賞)を受賞。代表作は「ウォーターフォール」という墨とエアーブラシで表現した滝の作品で、日本画の新しい形が現代アートとして国際的に評価された。美術館はその滝の作品を中心に展示しているが、実際に向かい合うと滝の音が聞こえ水しぶきを浴びているような迫力に圧倒される。
オフィス(左)も美術館同様のデザイン