妹島和世がデザインした宇宙船のような特急「ラビュー」

妹島和世がデザインした宇宙船のような特急「ラビュー」

西武鉄道の新型特急車両001系「Laview(ラビュー)」は2019年3月に運行開始。車両開発の常識を覆すような球面形状の前面と、リビングを思わせる大きな窓でデザインしたのは建築家の妹島和世。

特急ラビューは、西武池袋線の池袋駅から西武秩父線の西武秩父駅間を運行していた10000系ニューレッドアローの後継車両。「今までに見たことのない新しい車両」というコンセプトを元に、妹島和世がデザイン監修、座面シートや床は安東陽子、車内照明は豊久将三、デザインコーディネーションとグラフィックデザインは棚瀬純孝が担当。そして数々の難題をクリアし製造したのは日立製作所で、ついに西武鉄道の未来を担う新たなフラッグシップトレインが誕生した。

乃村工藝社がリニューアル設計した西武秩父駅

乃村工藝社がリニューアル設計した西武秩父駅

圧倒的な個性を醸し出す外観

圧倒的な個性を醸し出す外観

妹島和世のデザインが話題になった特急ラビューを一度しっかり見ておきたく、埼玉県秩父市の西武秩父駅へ。特急券を自動券売機で購入して改札を通り、特急ホームではなく跨線橋を渡って各駅停車用の島式ホーム(ホームの両面を列車の発着に使用)で待機。しばらくすると特急ラビューがゆっくりと滑り込んできたが、本当に宇宙船を思わせる斬新なデザインでとても格好いい。

外観で目を引くのは三次元の曲面ガラスを用いた球面形状の先頭車両と、縦1,350mm×横1,580mmの大型な窓ガラス。外装はシルバーのアルミ素材が風景の色彩をふんわり映り込むよう日立製作所の独自技術を施している。車内は珍しい黄色の座席が印象的で、外観同様に曲線のデザインで統一され座面は柔らかく座り心地も抜群。座席の前後も広く大きな窓から光が注ぎ込み、開放的なリビングをイメージした空間は、透明感溢れる作風で知られている妹島和世の特色が良く出ている。

ソファーのような包容感のある座席

ソファーのような包容感のある座席

黄色で覆われたエントランス

黄色で覆われたエントランス

乗り降りする各エントランス(デッキ)は、床がダークグレーの人工大理石以外は黄色一色。黄色が採用された理由は、妹島和世の実家が西武沿線で西武鉄道のイメージカラーが黄色だったとのこと。確かに1969年に登場した101系を筆頭に2000系など主力車体は長年黄色を採用していた。外観はもちろん、車内に入った瞬間も乗客の心を昂ぶらせる仕掛けが満載な特急ラビューは、2019年にグッドデザイン金賞、2020年6月にブルーリボン賞などを受賞している。

秩父は毎年12月3日に行われる日本三大曳山祭の秩父夜祭や羊山公園の芝桜が有名だが、秩父神社・三峯神社・宝登山神社などの神社巡りや紅葉など、1年を通じて楽しめる観光スポットが沢山ある。訪れる多くの観光客を乗せる特急ラビューは単なる移動手段だけではなく、普段見慣れた景色や鉄道を新しいものへと変える魅力があり、一つの目的地として選ばれる可能性を秘めている。

秩父のシンボル、武甲山を背景に

秩父のシンボル、武甲山を背景に

特急Laview/Limited Express Laview

デザイン監修
妹島和世(日本)
公式サイト
西武鉄道新型特急車両「Laview」
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