長野県長野市の国宝・善光寺本堂に隣接する「長野県立美術館」は、旧長野県信濃美術館から全面改築し2021年4月にリニューアルオープン。設計は宮崎浩が率いるプランツアソシエイツ。
長野県立美術館は美しい信州の山並みや善光寺・城山公園との一体化を図り、風景画のような「ランドスケープ・ミュージアム」を実現。地下1階から地上3階で構成された建物は、充実した展示スペースを活用して郷土作家のコレクション展を中心に現代アートの企画展も積極的に開催。屋上広場の風テラスやレストラン、アート・ライブラリーなどチケット無しでも自由に入れる無料ゾーンも多く、公園のように誰でも気軽に利用できる「開かれた美術館」を目指している。
周囲の風景を映し出すガラス張りの外観
2階展示室前廊下
寒くなる前に長野県立美術館を見ておきたく、早朝から車を走らせ長野へ。長野市内はかなり渋滞していたが開館15分前に到着。美術館の周囲を見渡すと、ランドスケープ・デザインは兼六園の真弓坂口近くにある金沢21世紀美術館を思い起こさせるもので非常に興味深い。建物はコンクリートの躯体を高断熱ガラススクリーンが囲み、公園との繋がりを遮断しない透明性も兼ねている。
館内に入ると吹き抜けのエントランスは立体的な通路が交差し回遊性のある空間。メインの展覧会は「とびたつとき―池田満寿夫とデモクラートの作家」を開催。版画家で小説執筆や映画監督など多彩な活動を続けた池田満寿夫の作品や、交遊のあった作家の作品を紹介。(会期は2023/9/9~11/5まで)コレクション展示室の「NAMコレクション2023 第Ⅳ期 〇△□」は、モチーフなどが丸・三角・四角を連想させる作品を特集する独特なテーマが面白い。(会期は2023/9/21~11/28まで)
東山魁夷館を結ぶ連絡ブリッジ