京都駅の北東、三十三間堂の北向いに位置する京都国立博物館「平成知新館」は2014年9月に開館。設計はアメリカのニューヨーク近代美術館(MoMA)新館と同時並行で進めた谷口吉生。
平成知新館は1897年5月に開館した京都国立博物館の収蔵品鑑賞施設だった平常展示館をリニューアル。考古・絵画・書跡・工芸など様々な分野にわたる美術品・文化財を展示し、年に数回特別展示も開催される。建物正面のガラスは京都の町家の障子や格子窓のようなデザインで、庇はお寺で用いられる張り出し部分を数本の柱で支える手法を用いているため日本建築の佇まいを感じさせる。煉瓦造りの洋風建築で重要文化財に指定されている京都国立博物館「明治古都館」との対比も美しい。
京都博物館のシンボル「明治古都館」
3階まで吹き抜けのエントランスホール
昨年の京都旅行で行けなかった京都国立博物館の平成知新館へ。開館前にも関わらず100人以上が並んでいるのには驚いたが、入口の南門エントランスゲートでチケットを購入して敷地内の庭園を真っ直ぐ進む。右手には16世紀から18世紀初頭にかけてヨーロッパで広まった建築様式、バロック様式を取り入れた明治古都館がお出迎え。現在は改修中のため残念ながら展示は行っていない。
平成知新館の外観は谷口吉生らしい直線的な美しさと水盤が特徴的で東京の上野に建つ法隆寺宝物館を思い出す。建設する際の発掘調査では安土桃山時代に豊臣秀吉が建立した方広寺の南門と回廊跡が出土し、水盤には回廊の礎石跡に合わせて金属の二重の輪が置かれている。館内は陽光が降り注ぐエントランスホールと水盤に沿ったグランドロビーが開放的で、緩やかに屋外と室内を繋ぐ日本的な空間構成が素晴らしい。グランドロビーから見渡す庭園や京都の街並みも風情がある。
グランドロビーから水面と景色を望む