江戸時代後期に浮世絵師として西洋に多大な影響を与え、世界的評価の高い葛飾北斎の作品や魅力を伝える「すみだ北斎美術館」は2016年11月に開館。設計は日本を代表する建築家の妹島和世。
墨田区は葛飾北斎生誕の地で、生涯の殆どを区内で過ごしながら優れた作品を数多く残した。その縁の地に建てられたすみだ北斎美術館は北斎と門人の作品を国内外に発信し、イベントや多彩な分野とのコラボレーションを実現することで地域活性化の拠点を目指す。建物は地下1階から地上4階の各フロアに、常設・企画展示室、講座室、図書室、ミュージアムショップなどで構成されている。
緑町公園北側から望む外観
三角形のスリットがガラス面となるアプローチ
妹島和世が設計した墨田区の建築を見るために電車で都営線の両国駅へ。北斎通りを東へ5分ほど歩くと緑町公園の敷地内南側に建つすみだ北斎美術館へ到着。外観はアルミパネルで覆われ、三角形のスリットが天地へ貫きかなりのインパクト。建物の裏を設けず周囲のどこからでもアプローチできる導線は、SANAA設計の金沢21世紀美術館と同じコンセプトで気軽に立ち寄ることができる。
1階でチケットを購入後、エレベーターで4階の常設展示へ。所蔵作品は北斎作品収集家・研究家のピーター・モースによるコレクション約600点が中心となり、“すみだ”と北斎の繋がりから各期の代表作を北斎の生涯と共に紹介。作品鑑賞以外にもタッチパネルで北斎漫画「北斎絵手本大図鑑」を楽しみ、浮世絵についても理解を深めることができる。リアルな北斎アトリエの再現模型も必見。
北斎と娘(阿栄)の手元が動く模型