八ヶ岳の裾の尾に位置し、キース・ヘリングの作品を中心に展示する世界で唯一の美術館「中村キース・ヘリング美術館」は2007年4月に開館。設計は都市計画・舞台美術なども手掛ける北川原温。
キース・ヘリングはストリートアートの先駆者として1980年代のアメリカを代表する芸術家。中村キース・ヘリング美術館はそのヘリングの作品を、創設者の中村和男が1987年より収集する約300点を収蔵している。2015年3月には2つの新しい展示スペースやポップショップを拡張して「美術館を超えた美術館」をテーマにリニューアル。インフレ激化で経済が混沌とする1980年代のアメリカで夢や希望を与え続けたヘリングの思考や人生、そして作品が放つメッセージを体感できる。
ヘリングの世界へ誘う闇へのスロープ
巨大な作品が並ぶ希望の展示室
誰もが一度は目にしたことがあると思われるポップで色鮮やかなキース・ヘリングの作品を観るために、小淵沢の中村キース・ヘリング美術館へ。自然に囲まれ傾斜の地形をそのまま活かして建てられた美術館は現代的でニューヨークを思わせる独特の雰囲気が特徴的。展示空間は闇へのスロープから闇の展示室・希望の展示室へと繋がり、ヘリングが駆け抜けた時代の光と影を表現している。
開催中の展覧会は「Keith Haring: Humanism -博愛の芸術-」で、アートはプロパガンダではなく全ての人が楽しむものという思想を紹介。メインとなる希望の展示室では巨大なアルミニウムにペイントした「無題(踊る2人のフィギュア)」など立体作品が点在。最盛期だったクラブカルチャーの熱気が伝わる「スウィート・サタデー・ナイト」も見どころ。明るく開放的な空間は四方から自分の好きな角度で、ゆったりと楽しむことができる。(会期は2019/4/13~2020/1/13まで)
ハートの鏡が可愛い空のステージ