青山霊園や青山公園など緑豊かな周辺環境を活かした六本木の「国立新美術館」は2007年1月に開館。日本で最も新しく5館目に建てられた国立美術館の設計は建築界の奇才、黒川紀章。
国立新美術館は常設コレクションを持たず、1階から3階の国内最大級展示スペースに公募展・企画展など多彩な展覧会を開催する新しいタイプの美術館。美術に関する情報や資料の収集・公開、教育普及のためのワークショップ・公演などアートセンターとしての活動にも積極的に取り組んでいる。波のようにうねるガラスのカーテンウォールに面した吹き抜けのロビーは居心地の良い空間として多くの来館者を引き寄せ、レストラン・カフェやミュージアムショップなどの施設も充実。
波打つような巨大ガラス壁が特徴の外観
開催中の展覧会「アーティスト・ファイル2010―現代の作家たち」
国立新美術館は千代田線の乃木坂駅が直結しているため、雨天時や待ち合わせにも便利。東京ミッドタウンと六本木ヒルズに徒歩10分以内という立地の良さは、1つの展覧会で50万人を超える時もあり集客力も日本トップクラス。東京ミッドタウンにはデザインハブやサントリー美術館に21_21 DESIGN SIGHT、六本木ヒルズには森美術館がありアート・デザインが集結したエリアになっている。
建物は黒川紀章らしい奇抜さで円錐形の入り口に有機的な曲面のガラス壁が特徴的。このガラス壁には細長い水平のガラスが折り重なったルーバーが設置され、表面の水玉模様が外光や赤外線・熱を和らげている。年間を通して様々な展覧会を扱う展示室は搬出入しやすい設計で展示の自由度が高く、鑑賞後の休憩スペースも十分に確保されているなど美術館としての機能性にとても優れている。
正面入口から見渡す館内