ファッション・アート・文化などのトレンドを発信する「表参道ヒルズ」は2006年2月にオープン。表参道の穏やかな坂道をそのまま建物内のパブリックスペースとして取り入れた設計は安藤忠雄。
ケヤキ並木が続く表参道に、商業・住宅施設を持ち合わせた複合施設の表参道ヒルズ。縦長のガラスが連なる全長は約250mもあり、ケヤキ並木とほぼ同じ高さに揃えられ屋上と壁面緑化が明治神宮へと続く景観に調和している。表参道のシンボルとして人々の心の風景に刻まれた旧同潤会青山アパートを同潤館として再生するなど、最先端だけを求めるのではなく街の歴史や文化も継承している。
ケヤキ並木に沿って同じ高さで続く外観
多くの来場者を迎えるメインエントランス
新緑の美しい5月の朝、表参道駅から原宿方面へ進むと2・3分で表参道ヒルズへ到着。ガラス張りの外観に景色が映し出され、建物の威圧感は殆どない。アニバーサリーや新オープンの広告が示すように表参道ヒルズは2016年2月11日に10週年を迎え、外国人観光客も視野に入れた旗艦店となるファッションブランドに力を入れている。時間と共に行き交う人が増え、徐々に街が活気を帯びてくる。
建物中へ入ると地下3階から地上3階の大胆な吹き抜けや大階段、地下まで自然光を届ける空間が印象的。表参道の坂と同じ傾斜のスロープは路地を歩くような感覚で「第二の表参道」を思わせる。このスロープは地権者からのアイデアで、環境や歴史を考慮した志ある建築でとても素晴らしい。人出が多い時にはエスカレーターやスロープに人が流れているようで眺めているだけでも面白い。
表参道と同じ傾斜が続くスパイラルスロープ