直島の瀬戸内海を望む高台に建ち、アーティストがこの場所だけのために制作した作品を展示する「ベネッセハウス ミュージアム」は1992年7月に開館。設計は安藤忠雄で直島1作目の作品。
ベネッセハウス ミュージアムは美術館とホテルを兼ね備えた施設で、アンディ・ウォーホルやリチャード・ロング、大竹伸朗など名だたるアーティストの作品に出会える。ホテルの年間利用率は海外からの観光客が50%を超え、アメリカの旅行雑誌 コンデナスト・トラベラーに「次に見るべき世界の七か所」として取り上げられるほど知名度が高い。安藤忠雄が設計した建物は半分が地下に埋もれる幾何学的造形で、アートと共に周囲の自然と対話する特別な空間をつくり出している。
自然に溶け込みひっそりと佇む外観
杉本博司「タイム・エクスポーズド」
直島2日目も天気に恵まれ、レンタルサイクルで昨日同様にベネッセハウスの東ゲートを目指す。自転車を置いて海岸線沿いに坂道を歩くと、長い間待ち焦がれていたベネッセハウス ミュージアムへ到着。隠れ家に入っていくような細いアプローチと緑に覆われた外観は、6年前と殆ど変わっていない。フロントでチケットを購入して、まずはブルース・ナウマンの「100生きて死ね」へ。一人だけの贅沢な空間に、ネオン管で綴られた生と死の言葉が点滅しているのをじっと眺める。
1階でリチャード・ロングや柳幸典などの作品を観て、地下1階のテラスに出る。屋外作品の1つは安田侃「天秘」で、曲線の大理石に寝そべり空の景色と風の音や時々聞こえる鳥の鳴き声を楽しむ。もう1つは杉本博司の「タイム・エクスポーズド」で、左右のコンクリート壁に水平線のモノクロ写真が飾られていて目線を変えると瀬戸内海の水平線と一致する。海側を背にして見上げる建物は重厚感があり安藤建築らしい格好良さと、長年直島を見守ってきた安心感が伝わってくる。
地下1階テラスからの外観