近代建築史上最も有名な建築の一つとして、中世の香り漂うパリ郊外のポワシーにある「サヴォア邸」は1931年に完成。設計はスイス出身の建築家で近代建築三大巨匠の一人、ル・コルビュジエ。
サヴォア邸は保険会社のオーナー、ピエール・サヴォアが週末を過ごすための住居として建てられた。施主からは最小限の要望と予算以外は自由に任され、設計したコルビュジエが当時の伝統建築に対抗するために提唱した近代建築の5原則「ピロティ(1階部分が柱だけの外構空間)/屋上庭園/自由な平面/ 水平連続窓/自由な立面」をすべて取り入れている。直線と曲線の巧みな組み合わせに内部・外部空間の豊かな表情など、建築史の決定的な転換期として重要な役割を果たした建物。
オブジェのように芝生の上に置かれている建物
螺旋階段の曲線とスロープの直線が美しいエントランスホール
モダニズム建築の原点で傑作と言われるサヴォア邸を見るために、パリのナシオン駅からRER(首都圏高速鉄道)A線を利用して30分程でポワシー駅へ。南口からバスが出ているが待ち時間の間に着くため、20分ほど歩いて最後は緩やかな坂を上ると白いフェンスが視界に入る。裏口のようなフェンスが入り口で木の茂る小道を歩くと芝生一面の広い敷地に白い建物、念願のサヴォア邸に到着。
まずは芝生の感触を確かめるようにゆっくり歩き、色々な角度から外観を眺める。1階は柱がメインで建物が宙に浮かんでいるように見え、柱と外壁のスペースが広く取られているのは車寄せとしての機能も備えている。エントランスホールは円形のガラス張りで明るく、入ってすぐに地下1階から屋上までをつなぐ螺旋階段と2階へのスロープが左右にあり、建物内のアプローチをより豊かにする。
2階リビングのコルビュジエ・チェア