映画作品の保存・修復・配給を目的としてフランス政府が出資するパリ・ベルシーの文化施設「シネマテーク・フランセーズ」は2005年9月に開館。設計はアメリカの鬼才、フランク・ゲーリー。
1936年9月、シネマテーク・フランセーズは過去の映画作品を新しい世代に広く知ってもらう目的で設立。第二次世界大戦後、パリ市内を転々とした後に現在のベルシーへ落ち着く。設立以来4万本以上の映画作品と、映画に関する資料・物品を収集。展示はシネマテーク・フランセーズ創始者のアンリ・ラングロワのコレクションが中心で、定期的に入れ替えも実施。施設は映画上映・映画博物館・図書館などで構成され、4つの上映ホールではその時々に沿ったテーマの作品を上映している。
フランク・ゲーリーらしい奇抜な外観
映画フィルムを思わせるエントランスのドア
世の中に衝撃を与えたビルバオ・グッゲンハイム美術館を設計したフランク・ゲーリーの建築を見るためにベルシー駅へ。ベルシー地区はパリでは珍しく高層マンションや新しい建物が並ぶ。シネマテーク・フランセーズは駅近くのベルシー公園に隣接し、元々は1994年に竣工した旧アメリカンセンターをリニューアル。フランク・ゲーリーの建築はチタン素材を使用し躍動感ある曲線や不規則で有機的なラインが特徴だが、この建物は発色を抑え石を使用してパリの街並みに合わせている。
シネマテーク・フランセーズは映画監督の巨匠、フランソワ・トリュフォーやジャン=リュック・ゴダールなどが通い詰め、ヌーヴェル・ヴァーグが生まれフランス映画史においても重要な役割を果たした。ヌーヴェル・ヴァーグとは1950年代半ばから始まった映画の革新運動で、商業映画に束縛されず若い監督達によるロケ撮影中心の自由な映画制作を送り出された作品群・及び作風を指す。
チタンパネルと石のコントラストが面白い